宇連川でカワヒバリガイの生息を確認しました
(2010.1.20)

 導水施設や水道施設などでの大量発生により人間社会への影響が懸念され、特定外来生物に指定されている二枚貝の一種カワヒバリガイが、豊川水系の宇連川に生息し、定着していることを初めて確認しました。

 2009年10月、豊橋市在住の柴田康行氏により、宇連川で2007年に採集された二枚貝が豊橋市自然史博物館に持ち込まれました。調べたところ、豊川水系ではこれまで見つかっていないカワヒバリガイでした。そこで、自然史博物館の松岡と西が10月下旬に調査を行ったところ、宇連川の新城市名号(みょうごう)から浅畑までの間の4地点でカワヒバリガイの生息を確認しました。最も密度が高かった豊岡葭(よし)ヶ滝では、15分間で約68個体が見つかりました。また、最も大きな個体は殻長が26.1㎜ありました。

 今回の調査では下流の豊川本流では生息が確認されませんでしたが、今後下流に分散する可能性があります。このため、自然史博物館では今後継続して調査を行う予定です。

分布図
赤丸はカワヒバリガイが確認された地点。
白丸は確認されなかった地点。

石の裏に付着するカワヒバリガイ
石の裏に付着するカワヒバリガイ

カワヒバリガイとは

 カワヒバリガイは淡水にすむイガイ科の二枚貝で、中国から東南アジア原産の外来種です。中国から輸入されるシジミ類に混じって日本に入ったと考えられており、国内では1990年に木曽三川の揖斐川下流域で初めて見つかりました。その後、琵琶湖・淀川水系、木曽川水系、天竜川水系、利根川水系と国内で分布を広げ、2009年3月時点で15都府県で見つかっています。県内では、2004年に矢作川で生息が確認され、2008年に田原市の豊川用水で死骸が見つかっています。

 カワヒバリガイは特定外来生物に指定されており、輸入や飼育、運搬、放流が規制されています。しばしば大量発生して導水施設や水道施設などのコンクリート壁や配管の内壁に高密度で付着し、通水障害を引き起こします。また、水生昆虫など在来の生態系への影響も懸念されています。京都府の宇治川ではカワヒバリガイを中間宿主とする寄生虫が原因でコイ科魚類が弱ったり死んだりする被害が報告されています。

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